誰のチャートにも過去と現在しかなく、未来は描かれてません。もし、未来が描かれていれば、「あとから見ればわかるのだが…」なんてこと誰も言わなくなります。では、チャートの未来とは、皆目見当がつかないものなのでしょうか。もしそうなら、トレードは単なるギャンブルになってしまいます。今から数分、数時間先の未来なら、何が起こるかある程度わかる、そういう領域にいる人がいるはず、そう考えてことはありませんか。
同じミスを繰り返すのは、脳の危険回避メカニズム。
じっくり考えろ。しかし、行動する時が来たなら、考えるのをやめて、進め。
ナポレオン・ポナパルト
この言葉通り「今」という瞬間は、「進む」ためにあるのであって、迷うためではありません。でも、人は、今を意識しすぎるがあまり、今に感情的になります。
失敗トレードを日誌をつけているのにも関わらず、何度も同じミスを繰り返し、自分はバカじゃないかと悲しくなるのは、あなたが悪いんじゃく、脳のメカニズムとして当たり前のことなんです。
ヒトの脳は、リアリティーある思い込みを「現実」として捉えてしまいます。ホントの現実なんて、もともと存在しないものなのかもしれません。
トレードだと、「常勝」にリアリティがあれば80%勝ち続け、「常敗」にリアリティがあれば80%敗け続けます。
実際、勝てている人だって20%は負けていますが、80%勝てるという「プラス観念(思い込み)」が、常勝という好循環をつくりだしているだけです。
常敗の人は、同じミスを繰り返すことで、自分はダメな奴という自己嫌悪を招き、それが「マイナス観念(思い込み)」となって、悪循環を引き寄せます。ビギナーズラックが起こるのは、この「マイナス観念」が、まだできていないおかげです。
敗け続けるのは、スキルが足らないんじゃなく「マイナス観念」のせいです。
熱いものを触ると火傷するというリアリティ、すなわち「マイナス観念」があるから、注意できるように、危険を避けるという脳の仕組みであって、どうしょうもありません。
負け続ける未来にリアリティがある限り、負けやすいように「今」を動いてしまうのは必然的なことです。
そこで、今回は、このマイナス観念をプラス観念に上書きする方法をお伝えします。
波のイメージができない初心者の壁
トレーダーの持つ波のイメ-ジは、そのままトレードに反映されます。正しい波のイメージを待てば勝ち、間違った波のイメージを持てば敗ける。たったこれだけです。
先週末の109.00サポートは強そうです。ここを大底と観て買い始めている人たちがいて、そのチャレンジが底値をつくりました。これに対して、緑高値を意識していて、まだまだ、戻ってきたら売ろうと、売る気満々な人たちがいます。
戻り売りの有力候補はフィボナッチ61.8%周辺にある、2本の青水平線になります。そして、手前の半値に反応する可能性も考えておきます。
この日のトレードプランは、戻り売り候補まで買って、本命は戻り売りですが、赤ボックスのようなところ(青〇からの半値)での、ブルベア綱引きに警戒します。
つまり…売ったとしても、すぐには下がらずにレンジ化する可能性が高いということです。
高値1の下降波半値で反応していますが、崩れて上昇。高値2のフィボナッチ61.8%+青水平線でも同じ現象が起こっています。
トリプルトップの押し安値をブレイクしたことで、赤〇からショートした人がいます。しかし、この売りポジションは檻に捕われ、最終的に損切されました。
下降波半値で反応しているので、1分足だけ見れば売れそうなカタチですが、こういうところで売っちゃっていませんか?
なぜ、ここで売ってしまうのか、その原因と対策を、今回のテーマと絡めて、あとから解説したいと思います。
高値2は下降波フィボナッチ61.8%+青水平線の高値もあって、戻り売りの有力候補です。
Wトップネック抜けで、1分足しか観てなければ、ブレイクと判断して、赤〇からショートしそうな感じです。黄部分は5分足ではヒゲになってますが、うっかり売った人がいます。
高値2は、適当な戻り売りポイント。そう考える人が多ければ多いほど、逆に、そうならなかったときのことを考えます。
相場では「大方の予想に反して」という動きが出たらチャンスです。
仕込んでいた玉が多い分、値が逆に走る可能性が高くなります。そうなれば、安値を切上げた青〇は絶好の買い場になります。
未来へのライン取り
波のイメージが大事というのは、これまでもお伝えしてきましたが、これができるか、できないかが、勝ち組と負け組の分水嶺といっても過言ではないかもしれません。
成長の第一段階は「今」しか観てませんので、敗けまくります。
第二段階は、それに気づいて、過去を観るようになります。過去を分析して未来のシナリオを建てようとします。ところが、この第二段階でも「今」しか観てません。「今」への意識が強すぎるところへもってきて、短期足チャートを観てしまうことで、せっかく建てたシナリオが全く活かされません。
第三段階になり、今という「点」ではなく、波という「流れ(点の繋がり)」を意識するようになって、ようやく、どこで待つべきかを知るようになります。
チャートには、過去と現在が描画されていますが、未来は描かれていません。もし、未来が描かれていたら、全戦戦勝ですよね。
「チャートができた後ならわかる」これ、よく聞くスレーズですが、未来がないなら、つくってしまえばいいのです。
「未来チャート」をつくってしまえばいいのです。
ボクがこれに気づいたのは、MT5の「チャートをシフト」するというボタンを押したときです。試しに、このボタンを解除して、右端の空白を消してみると、とてもトレードできる気がしません。
それだけ、この「20%の空白」重要で、未来をイメージするために存在します。このスペースをどう活用するかが勝つコツです。
慣れてくれば、頭の中だけで、未来をイメージができますが、そうなるまでは、実際にラインを引いてみましょう。
これは、ゴルフのパッティングや、レースのライン取りのようなものです。パッテングの瞬間にゴルファーの頭にあるのはカップインする未来、コーナーリングの瞬間にレーサーの頭にあるのは、コーナーを抜け加速する未来、未来です。
バイクレーサーもゴルファーも、「今」という地面ではなく、前方の「未来」を見てるんです。
これと同じ原理で、チャートに未来のライン取りをします。シナリオには、未来のイメージが大事なんです。
やり方は簡単で、緑高値からの下降波を引いて、戻り売り候補から平行ラインを未来に向けて引くだけです。
このチャートでは、109円からの押し目買いもあるので、実際には、赤ボックス内でブルベア綱引きレンジになる可能性が高いですが、とりあえずは引いてみてください。
そうすると、下降波半値の戻り売り候補である高値1に達したとき、何か突発的なことでもない限り、赤矢印のような動きにはなりにくいことがわかります。
ところが1分足をみると、戻り売りシナリオを建てていたにも関わらず、「今」しか観れなくなり、その結果、赤1のようなショートをしてしまうことになります。
もし、ここに白い波のイメージがあれば、少なくとも黄1まで待てるのではないでしょうか。
高値2でも同じことがいえます。黄2のショートならアリですが、、赤2のショートは見送ることができます。
短期足に振り回されている人は、「今」に振り回されている人です、足元の地面しか見てない人なんです。こうすることで、「今」に振り回されなくなります。
脳はリアリティーを現実と思い込み、それに反応して行動してしまいます。
これは、チャートにライン取りをすることで、リアリティーを「今」という地面から「未来」という前方へシフトさせるという技です。単純なことですが、パワフルに機能します。
人生は、常に一歩目しかありません。
なぜなら、今からすることが、未来をつくるわけですから。
過去からは多くのことを学べますが、それもこれも未来を良くするためで、未来を悪くするためじゃありません。
過去から持ってこれるのは、知識や知恵、そして、観念(思考や感情)です。しかし、良くも悪くも、この観念こそが、驚くほど「今」に影響します。そして大概の人は、マイナス観念を抱いているので、不幸なループにはまりやすいものです。このループから抜け出そうともがくほど自己嫌悪感が高まり、かえって悪循環になります。
この「マイナス観念」からくる危険回避システムは、命を守るために必要なものなので変えることはできませんが、それなら、逆に、この思い込みのパワーを利用してしまえばいいのです。
今までの人生で染みついたマイナス観念を消し去ることはできませんが、上書き更新することはできます。
上書きされてしまえば、過去データとしては残りますが、二度と、「今」に悪影響を及ぼすことはなくなります。自転車に一度乗れてしまえば、転ぼうとしても、転ぶイメージができずに転べないようなものです。
今から、お盆で親戚の家に行きますが、しゃぶしゃぶが待っています。数時間後のボクの未来はしゃぶしゃぶで確定!メチャ、リアリティーあります。だから何の迷いもなく親戚の家に向かいますし、道順もわかっています。
リアリティに引き寄せられて動く。
これが人間じゃないでしょうか。
もし、しゃぶしゃぶが何かの手違いで、焼き肉になったとしても、それはそれで構いません。そういうこともあるのが人生ですから。
トレードもこれと同じではないでしょうか。
リアリティーは、脳の幻想なのかもしれませんが、感触や感覚が伴っています。
手法の数より、これを続ければ勝てるという「勝利のリアリティ」、たったひとつでも構いません。これを獲得、持続させることが大事なのではないでしょうか。