波の天底でのエントリー、リスクとベネフィットを考察。
まだはもうなり、もうはまだなり。
自然界でも、相場でも、波と呼ばれるものは、一番高い(低い)ところで、そのカタチを維持できなくなって崩れ始めます。
この図なら、結果的に、1stが下降波のピークになりましたが、1st時点では、上位足サポートサポートの反発を確かめるぐらいで、一番底になるかどうかわかりません。
1stロングは、あくまでネックラインまでのあや戻し(コレクティブムーブ)。リアルタイムで波がブレイク(崩れる)現象を認識できるのは2ndになります。
ダウ理論基準なら、ラス戻り高値をブレイクするまで下目線。この前提なら、1st~3rdまですべて逆張りであり、ロングの成功率は、上位足サポートの注目度にかかっています。
注目度が高ければ、ショート・ポジションの利食い+上位足トレーダー新規ロング+逆張り派ロングで波は反転します。ようするに、上昇波の始まりを察知する人が多ければ、リアルにそうなるわけです。
ロングするなら、ラス戻り高値を更新して、アゲダウになってからの方がベターでは?
そういう意見も、もっともですが、ラス戻り高値を更新することもあれば、しないまま上昇を始めることもあります。
きれいな教科書パターンを待っていると、チャンスを逃すことにもなります。
波の寿命は「相場環境」で決まります。
波のピークから遠ざかるほど、逆の波に勢いが殺されて、焦って追っかけで入ると損切レートが曖昧になります。
過ぎた優位性は、ただのビビリと同じで、タイミングが後ろにいって乗り遅れます。
相場格言に「まだはもうなり、もうはまだなり」とありますが、これって結局、まだでも、もうでも、リスクがあるので正解はない、最適解はトレーダー次第ということでしょう。
まだまだ…と、チャンスを逃したり、乗り遅れて振り落とされるくらいなら、早目に入って、即切りされるほうがマシ、と考えるタイプです。
まだ、でインして負けるか、もう、でインして負けるか、個人的には、もう、でインして負ける方が性に合ってるようです。
天底インのリスク
天底インは逆張り?
個人的に、逆張り人生に誇りすら持っているので、むしろ逆張りはカッコいいじゃんと思ってますが、順張りを刷り込まれてる人には、いささか誤解を招くかもしれません。
そもそも、順張り・逆張りの定義は曖昧で、どの波のサイズを基準にするかで、あなたの逆張りは、俺の順張りといった感じで、順張り見解の相違があります。
赤〇ロングは、L波上目線、M波下目線、S波上目線で、M波基準なら逆張りですが、L波基準のトレーダーからすれば順張り。
グレー矢印部分を5分足チャートの一日幅とすると、かなり上位足チャートをみないと、現場が、L波押し目候補であることに気づきません。
順張りか?逆張りか?問題は、トレーダーがどの波を基準にするかで決まるので、ひとつの解にはなりません。
だから、過去の流れに逆張りとはいっても、そこが、さらなる上位足にとっての節目なら、絶好の順張りポイントになるかもしれないということです。
そのレートの支配者が、どの上位足なのかを見極めることがとても重要。
上だ下だと目線をつけても、そこが、上位足にとって意味のあるレートとすれば、単一チャートで立てたシナリオなんて全く通用しません。
安値B付近での最上位支配者はL波であり、安値Bまでの下降エリアはM波が最上位支配者てな感じです。
最上位の支配者が判明すれば、それより上位のことは、とりあえず、考えなくてもいいわけですね。
天使や悪魔には階級があるそうですが、階級二位ベルゼブブの支配エリアなら、ベルゼブブのご機嫌をとりながら、それ未満の悪魔の相手をすればよくて、階級一位のルシファーのことは考えなくていい。
でも、一度、ルシファーのテリトリーに入ったら、ルシファーに忖度しないて生き残っていけず、場合によっては、ベルゼブブに刃を向けることがあるかもしれません。
そのエリアにおける、最上位クラスの支配者に逆らわないことが、ボクの考える順張りです。
天底インは優位性が弱い?
3rdインなら、すでに底値を2回試してますし、場合によっては、ラス戻り高値を越えて、アゲダウになってることすらあります。
大きな波の反転なら、おそらく、底値を試しての3rdからでないと上昇しません。
2ndインしても、ネックラインまでか、少し抜けても、底値試しで下がってきますが、値幅があるので、そういうトレードもいいでしょう。
前述した、現在値の最上位支配者をおさえて、その影のドンに背中を守ってもらいましょう。
これをせず、Wトップ・ボトムなどと、やっていたら、たちまち粛清されてしまいます。
1stと2ndが同値のこともありますが、2ndが安値キリアゲ(高値キリサゲ)というパターンもよく見られるので、これを使えば、2ndインの優位性を少し高めることができます。
まず、なぜキリアゲやキリサゲといった現象が起こるかですが、まず支配者の存在が大前提にあります。
支配者への警戒から1stピークの直前で利食いされ、その利食いをトリガーにネックラインまで狙ってポジションを持つ人がいるからでしょう。
そこで考えなきゃいけないのは、何を以てして安値キリアゲ、高値キリサゲを認定するか。
高値キリサゲなら手前の安値、安値キリアゲなら手前の高値を抜けば、100%確定ですが、これを待って2.5でインしても、天底への試しがあれば含み損を抱えてしまいます。
手前のロウソク足終値を新規のロウソク足が更新したらキリアゲ、キリサゲとみなす、など、独自ルールをつくるのもアリですが曖昧な気もします。
そこで、2つのアイデアを提案します。
1.1st高安ミニネックでの反発でイン
1st高安にはミニWボトム、Wトップができていて、下位チャートをみなくても、同時線(十字)でそれとわかります。
高値キリサゲ・安値キリアゲが起こるとき、このミニネックが起点になることがよくあります。
1st高安ミニネックすら越えられない事実は、「弱さ」を示唆するので、それを利用します。
1st高安ミニネックで止まったかどうかの判断は、ヒゲや、ハラミ足でみればいいでしょう。
2.最後の最後の攻防崩れ。
四角部分でブルベアの最後の攻防で小競り合いになることがあるので、これを利用します。
この局所的な押し目買い崩れ、戻り売り崩れでの損切り注文が、そのまま逆方向への推進力になります。
天底インのベネフィット
1.含み損を抱えないので大ロットを張れる。
2ndインなら損切りレートは極めて明確、1st高安割れで即損切り、なので一瞬でケリがつきます。
チャートを眺めながら、何時間も含み損を抱え続けるのはストレスです。とくに大ロットともなれば、そのストレスは強く、その後のトレードに悪影響を及ぼします。
2.負けてもドテンで取り返せる。
2ndインは波の頂点、なので崩れれば、損切りで短期的に値が走りやすく、仮に負けても、一段下の押し目候補や、一段上の戻り目までトレードして損失分をチャラにできる可能性があります。
分水嶺的なレートでインすれば、損切り幅も小さく、逆に走ればマイマスをすぐにプラスにできるというわけです。
3、天底への試しがあってもなくても関係ない。
ネックラインを抜けたあと、3rdへのプルバックを待っていたら、そのまま行ってしまった。
なんてことないでしょうか?
2ndインなら、3rdへのプルバックがあろうがなかろうが関係ありません。
相場環境によっては、3rdへのプルバックがないこともあります。
3rdへのプルバックがないケースとはどういうことでしょう?
それは、上昇なら2ndロングポジションを利確する人がいない、また、その利確をトリガーにあや押しのショートをする逆張り派もいない。
ショートする人(ロング利確+逆張りショート)がいなければ、3rdへの底値試しの動きが起こりません(逆も同じ理屈)
図のように、持ち合いを上抜け、上位足戻り売り候補に向かって相場が動意づいているとします。
その間に、さえぎる壁もないので、青2.5を上抜けてもプルバックせず一直線に上位足レジスタンスまで昇りつめます。
当たり前ですが相対するものがなく、フリーゾーンならこうなります。このとき、ボリバンのσバンドや移動平均線に沿って動くことをバンドウォークといいます。
ところが、上位戻り売り候補に達してからは、買いたい人と売りたい人が混在しているため、ネックラインを抜けても、そのまま下がらずに相対するロングを受けるわけです。
ボクが週ナビで「売りを受けてから買いたい、買いを受けてから売りたい」といってるのは、こういう局面のときです。
こととき、赤2.5でショートすれば、含み損をかかえてしまいます。
厳密にいえば、青2でも、さらに小さな波による売りが発生していますが、この相場の支配者は、上位足戻り売り候補に至るまで、その下位者なので無視しても構いません。
今日のまとめ
トレードを始めたころ、「天底で入るのはプロでも難しい」てな解説を、何かのブログか本で拝見して、だから逆張りはダメなんだ!と納得しました。相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」も、このことを言い表してる名言といえます。
ただ、日々トレードしていると、一週間ずっと天井圏内だったり、天底インしないと間に合わない場面に度々出会います。
特に狙う波のサイズが短くなるほどに、頭と尻尾の値幅も少なくなるので、頭と尻尾は…の意味は理解しつつも、本音は、波はジグザグしてるのだから、ジグとザグの端っこからとりたいと思ってました。
さらに、性格的に、含み損や損切りレートの曖昧さが気持ち悪いこと、そして、チャンスを逃すことに強いストレスを感じることに気づきました。
「攻撃は最大の防御」といいますが、これは攻撃する前にガッチリ守りを固めておくのが大前提です。
この守りとは、前述したように、今の相場を支配している上位足を味方につけるという意味です。
自分がジャイアンになれないなら、ジャイアンに守らせるしかありません。
十分に守りが固まれば、防衛ラインに背中を預けて、波状攻撃もできます。
一般社会では、個人の力で何とかしようと考えがちですが、自然界や相場界において自分の影響力などゼロ。
結局のところ、強者についていくしかないし、そうするのが、唯一の勝ち方ではないでしょうか。
大衆という負け側と、強者という勝ち側、両方の心理を推し量っていくしかありません。
サーフィンなら波の力、グライダーなら風の力を借りるように、大衆の負ける力、強者の勝つ力、どこで、だれの力を借りるかです。
この視点なくして勝ち目はなく、偶然勝てても、再現することはできません。